ビジネスで目的を達成するための雑談戦略を学んだ

Dec 17, 2023 23:50 · 3365 words · 7 minute read 読んだ本

『世界の一流は「雑談」で何を話しているのか』という本を読みました。

  • 雑談は重要だと聞いたことがある
  • 会社で上司や部下と1on1があるが、何を話していいのかよくわかっていない
  • 雑談を使ってチームビルディングを進め、チームのパフォーマンスを向上したい

こんなビジネスパーソンに役立ちそうな内容だったので、私なりに解釈した内容をブログに書こうと思います。

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目次

雑談の目的

まずは日本のビジネスパーソンと世界のビジネスパーソンが考える雑談の目的を比べます。

日本のビジネスパーソンの考える雑談の目的

日本で雑談というと、下記のように考えている人が多いと思います。

  • 会議の本題に入る前の潤滑油
  • 場の雰囲気を和ませて、話しやすい雰囲気を作る

世界のビジネスパーソンが考える雑談の目的

対して、世界のビジネスパーソンは、雑談で下記のような目的を掲げているそうです。

  • 相手との関係性を早期に構築すること。
  • リラックスして相手の言葉を受け入れる状態(ラポール)を作ること
  • 最終的にはビジネスを成功させること

日本で考える目的よりも具体的で、雑談を今後のビジネスを円滑に進めるための重要なステップとして考えています。

目的を達成するために大切なこと

では、目的を達成するためにどのような戦略をとっているのでしょうか?

目的が具体的ということは、目的を達成するための手段も具体化されていそうですよね。 書籍の中で様々な戦略が語られていましたが、私が特に大切だと感じたのは下記の3つでした。

1.相手のことを気遣い、興味をもつ

ビジネスの場だけに限りませんが、人と良い関係を築くためには相手のことを大切にしなければなりません。 自己開示をすることで互いを理解し、そして互いに興味をもつことで更に深く相手を理解する努力をします。

例えば日本では、宗教について聞くことをタブーと考えている人もいますが、相手を気遣うという文脈においては決してタブーではありません。 相手の食べられないものを理解して食事の提案をしたり、宗教上の行事を考慮してスケジュールを組むなど、良い関係を築くためには必要な情報かもしれません。

また、誰かの話を聞くときには、事前に相手の公開情報を調べます。話を聞かせてもらうことは相手の時間をもらうことと同義なので、事前に情報をインプットしておくことでより建設的な議論ができます。 これは社内の会議であっても同様で、会議の参加者は誰で、どのような考えをもった人なのかを事前にインプットしておくことで、効果的な雑談と関係の構築ができます。その結果、仕事もスムーズに進むでしょう。

目の前の相手を注意深く観察することも大切です。相手の細かな変化に注意を払い、相手を気遣う言葉をかけます。 例えば、「お疲れのようですがどうかされましたか?」と聞くと「実は子供が熱を出してしまって・・・」という回答がくるかもしれません。 そのような場合には「それは心配ですね。要点だけお伝えして、できるだけ早く会議を終わりましょう」という対応ができるかもしれません。 このような気遣いをしてくれる相手に対して、悪い感情を持つ人は少ないでしょう。

2.互いに有用な情報を交換できる相手になる

特にビジネスの場においては、建設的な情報交換をすることが大切です。 相手がもっていない情報や価値観を共有することで、互いを有用な情報を交換できる相手として認識し、早期により良い関係を築けます。

有用な知識や秀でた経験は一朝一夕で身につくものではありませんが、良い質問をすることでも相手に貢献できます。 良い質問をすることで相手が新たな気づきを得ることもあるでしょう。そして人間には、自分に興味をもってくれる人に好意をもつ特性があります。相手への敬意をもちつつ有用な質問をすることも良い関係の構築につながります。 広範な知識を得るのは大変ですが、良い質問は練習すればできるようになります。

異業種の相手と話す場合にも質問の力は役立ちます。中途半端な知識で意見を述べると逆に相手からの信頼を損なう危険性があります。それよりも、質問をして相手への興味を示し、今後につながる情報を互いに交換する方が有用な時間となるでしょう。

3.上下関係ではなく対等な関係になる

日本では、仕事を発注する企業と受注する企業の間に上下関係があることが多いです。 しかし、上下関係のもとで何かしらの圧力をかけられて仕事をしても、想像以上の良い結果につながることは少ないでしょう。 上下関係ではなく対等な関係で、同じチームとしてプロジェクトに取り組む方が良い結果が生まれます。

上下関係ではなく、対等な関係を作るためにはどうしたら良いのでしょうか? 相手の期待を上回る成果を出して信頼を積み上げたり、相手との共通項を通して互いの理解を深めると良いかもしれません。 他にも相手が求めている情報や経験を提供し、「この人と一緒に仕事をしたらうまくいく」という仲間意識をもってもらうのも良い手です。

いずれにしても、「企業と企業」という付き合いの構図から、「個人と個人」という構図にシフトすることが大切です。

上手な質問戦略

前述の通り、関係性の構築において質問は強力な武器です。 本書の中では上手な質問の仕方とNGな質問の例を紹介していました。

上手な質問は、相手のプライベートに土足で踏み込むことはせず、しかしながら相手の情報を集められる質問です。

例えば体調が悪そうな部下が「昨日飲み過ぎてしまって・・・」と話したとします。 このとき「誰と飲んでいたんですか?」という質問は相手のプライベートに踏み込むのに対して、「何を飲んでいたんですか?」と聞くとプライベートへの踏み込みを感じさせません。 「何を飲んでいたんですか?」という質問に対して「大学の時の友達と日本酒を飲んでいました」という回答がきたとすると、「どんな大学生活だったんですか?」と次の質問につなげることができます。

他の例だと「ご結婚はされていますか?」と聞くと、相手が結婚していないことに悩みを抱えていた場合には「配慮のない人だ」とマイナスの印象を抱かれるかもしれません。 「休みの日は何をしていますか?」という聞き方であれば、相手のプライベートな悩みに触れる可能性が低いです。リスクが低いにも関わらず、「休みの日は子供と野球をしています」のような回答があれば「子供がいる」「子供が野球をしている」という情報を得ることができます。 「どこのポジションなんですか?」と質問を続けたり、今後野球に関する有益な情報を得た時に知らせることもできるでしょう。

場所を変えて質問するのも良い手です。 例えば会議室で「この会社についてどう思いますか?」と聞く場合と、居酒屋で同じ質問をする場合には正反対の回答が返ってくることもあるでしょう。 居酒屋までいかずとも、廊下やトイレで質問をすることで、会議室よりも高確率で自分が必要な情報を得られる場合もあります。

世界のビジネスパーソンは事前に相手を調べ、様々なシチュエーションを想定して準備をした上で雑談に臨んでいるそうです。 時にはチームで雑談のシナリオを組み立てるなど、「勝つべくして勝つ」というような入念な準備をして雑談に臨むので、無難で当たり障りのない天気の話をするのと違いがでるのは当然です。

最後に

本書には今回の記事に書いた以外にも「練習してできるようになりたい」と思う手法が多く紹介されていました。

本書を読む前は、私も雑談の重要性と可能性に気づいていない日本のビジネスパーソンの一人でした。 雑談の重要性を理解したので、相手とのより良い関係構築の手段の一つとして、雑談の練習をしてみようと思います。

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