個人で本を書いてKDPで出版する方法のノート
Dec 15, 2024 17:10 · 4359 words · 9 minute read
Kindle Unlimitedでおすすめに出てきた「副業して投資しろ」という本を読みました。 切り口は「副業と投資」ですが、内容は個人で本を執筆し、KDP(Kindle Direct Publishing)で出版するノウハウが体系立てて解説されていました。
自分の学習や試行錯誤の記録として、毎週何かしら学んだことをブログに書く生活を初めて早数年。 本を書くことに興味があったので、自分向けにメモと思考をアウトプットします。 本の中では具体的なデータや著者の経験に基づいた戦略が多数紹介されています。 この記事を読んで内容が気になった人はぜひ本も読んでみてください。
目次
KDPとは?KDPの収益体系
Kindle Direct Publishingの略です。個人がAmazonで無料で本を出版できます。
著者側からすると、Amazonという世界最大の本屋で自分の本を販売でき、Amazon側からすると取り扱い書籍数が増えるというwin-winのシステムです。 Amazon限定で本を発売すると著者が受け取る印税が増えます。Amazonとしては自分の店だけの独自商品という強みが生まれます。
Kindle Unlimitedの場合は、本の売り上げではなく読んだページに応じた印税が支払われます。 著者側からすると本を販売する障壁が下がり、Amazon側としては最後まで読んでもらえる質の良い本が増えるというメリットがあります。
とてもうまく設計されたシステムですね。
あなたの経験や知識には価値がある
「自分には本に書けるような経験や知識や経験なんてないよ」と思う人も多いと思います。私もそうでした。
KDPの場合は、本屋に並ぶような商業出版とは違った戦略を選択できるので、一般の人でも勝機があります。 商業出版の場合は何千部、何万部と売らないと利益が出せないので、本が売れる可能性が高い有名な人や専門家が一般の人に向けて本を書きます。 対してKDPを個人で販売する場合は、そこまでの販売部数がなくても十分に利益が出せるので、ターゲットとなる読者の規模と届ける内容が変わります。
販売戦略次第で、専門家ではない普通の人が書いた本でも十分に価値がでます。 例えば塾で講師のアルバイトをしている大学生は受験の専門家ではないですが、自分の知識や経験を受験生に教えることで価値が発生しています。大学生の知識や経験は最新の情報なので、経験豊富な塾講師とは違った価値があります。
KDPの場合も同じで、「読者よりもちょっと詳しくて、先行して経験を積んでいる人」という立場から本を出すことで、これから学ぼうとする人にとって価値のある本になります。
個人で本を書いて公開する手順
本の中で紹介していた出版までの手順を抜粋し、私の考えを加えたメモです。
出版する目的を決める
KDPは個人が自由に出版できるので、目的も様々です。
- 本が書きたいから書く
- 印税で稼ぎたい
- 自分の商品の宣伝
など、自分の目的を設定します。
本のテーマを決める
本のテーマを決めます。 自分で書きたい本を好きなように書く場合は自由に書いたらいいですが、印税や何かしらの目的をもって出版する場合はテーマ選定がとても重要です。
戦略的にテーマを設定する場合は、本書で紹介している方法が使えます。
- 経験を棚卸する
- HARMを参考にしながらテーマを選ぶ
- マーケティングして需要があることを確認する
- Amazonで実際に売れることを確認する
ここまででテーマを選んだら、狙っているテーマの中で競合が少ない部分を探します。 例えば「転職」のようなキーワードを選択した場合、転職について書かれた本を細分化し、自分が書けるテーマで勝てるジャンルを探します。
HARMは、健康や将来の夢、人間関係、お金を意味する単語の頭文字を集めた造語です。 人間の本質的欲求なので、コンテンツを作るときの指標の1つになります。
本のタイトルを決める
テーマが決まったら、本のタイトルを決めます。タイトルを先に決めることで、執筆中に本の内容がブレるのを防ぎます。
著名人や専門家ではない個人として出版する場合、タイトルのSEOもとても大切です。 自分の名前で本を検索してもらえる可能性は限りなくゼロに近いので、SEOで有利になるタイトルを考えます。
章構成を練る
テーマとタイトルが決まったら章構成を練ります。 まずはキーワードや内容を箇条書きにして、全体のバランスを整えます。 例えば、「特定の章に重要な情報が集まり、他の内容がスカスカ」みたいにならないようにバランスを整えたり、読者の興味が続く論理展開を設計します。
「誰にどんな行動を起こして欲しいのか?」というロジックを練る考え方は、昔読んだ「世界No.1プレゼン術」と同じ考え方ができそうだなと感じました。 論理構成以外にもプレゼン術の考え方を本の執筆に活用できそうです。
「世界No.1プレゼン術」を読んで実践してみたので振り返る - kapieciiのブログ
文体を決める
章構成が決まったら文体を決めます。 例えば、物語形式や会話形式にすると親近感を感じながら読み進めてもらいやすい可能性があります。
文体を決めるときに参考になるのが語り手のポジションです。 例えば、語り手が有識者である場合と読者と同じ立場の初学者である場合では、読者に受け入れてもらいやすい文体が変わります。有識者である場合は著者の権威を感じるような文体がいいでしょうし、同じ立場の場合は読む人に寄り添うような文体が良いです。 個人で出版する場合、書き手は権威のある有識者というわけではないので、読者と同じ初学者の立場から書く方が良さそうです。
執筆に使う編集ソフト
本の中でおすすめしていたソフトはGoogle DocsかMicrosoftのWordでした。 個人的にはVSCodeで書くのも良さそうかなと考えています。 VSCodeを執筆に使っている人は多いので、便利なプラグインがたくさんありそうです。馴染みがあるならGitを使って執筆や校正を管理するのもよいでしょう。
本を書く場合、縦書きと横書きを選択できます。縦書きにすると本っぽさが出る半面、画像を入れたときの改ページのコントロールが難しくなったり横文字が読みづらいです。横書きの場合は、本っぽさは下がるものの、横文字にも対応しやすく縦スクロールでも読みやすいです。
筋書を書く
章構成を元に筋書を書きます。筋書では、内容の順序や粒度を調整します。 順番の入れ替えや、各章のボリュームの調整がしやすいので箇条書きがおすすめです。
「はじめに」を書く
最初に「はじめに」を書くことで本の全体像を説明します。「はじめに」を先に書くことで本の内容がブレにくくなります。
執筆する
ここまで来たら、いよいよ本文を書き始めます。 筋書の内容に肉付けしながら本の文章として完成させます。
編集する
書き上げた文章を最初から通読し、校正します。 つながりが悪いところや誤字脱字を修正します。
図表を入れる
PowerpointやCanvaを使って図を作成します。 Canvaは利用規約に沿っていれば商用利用もできるらしいです。
図はあくまでも理解を助けるためのプラスアルファの要素です。 図にこだわりすぎると時間がいくらあっても足りないので、時間を決めつつ各章の画像は必要最低限にするのが良さそうです。
体裁を整える
改行や改ページ、インデントや文字の装飾を整えます。
第三者に見てもらう
SNSやココナラで校閲してくれる人を探します。 自分の当たり前は読者にとっての当たり前ではないので、自分が使っている単語や例え話が読んでくれる人にとっては適切ではない可能性があります。 第三者視点で意見をもらうのはとても大切です。
表紙を作る
自作 or 外注します。 デザインの勉強が必要なので外注するほうがいいかもしれません。 最近だとAIで画像作成もできるので、AIを活用しながら進めるのも良さそうです。
コラムを書く
見出し間のつなぎに使ったり、本編で取り上げられなかった内容をコラムに記載します。 筋書を作る段階でコラムの計画を立てるのがおすすめらしいです。
「おわりに」を書く
「おわりに」は自由に書いてOK。「おわりに」に到達しているということは、最後まで本を読んでくれたということです。お礼を述べるなり思い思いの内容を書きましょう。
特典を考える
お得感がある読者特典があると、本を読んでくれた人の満足感が高まります。 例えば、本の内容を実践するときに役立つツールなどを提供すると良さそうです。
そのほか細々した内容を作る
内表紙、注意事項、著者紹介、奥付などを書きます。
内表紙、奥付という名前を知りませんでした。本を読むときには気にしていなかった部分にも名前があるんですね。
出版前の最終チェック
出版前に最終チェックをします。
- 音声読み上げ機能で誤字脱字や全体構成のチェック
- 目次を最新化
- 本文内の日付を最新化
- Kindle Previewで見た目やリンクが破綻していないか確認
KDPに必要事項を入力
Kindleの商品ページを作成します。自分の本を見つけてくれた人が最後に購入を決めるのは商品ページです。ここで離脱してしまうのはとてももったいないので、本の魅力を伝える商品ページを作ります。
販売戦略:ベストセラーを狙う
amazonでは1時間ごとに商品のランキングが更新されます。このようなamazonの仕組みを利用して販売戦略を展開します。 ベストセラーが取れると今後の販売戦略で有利なので、ベストセラーを狙うのが良さそうです。
- どれくらい売れたベストセラーを狙えるのか?
- ベストセラーを狙うためにどんな戦略があるのか?
といった具体的な内容は本を読んでもらえたらと思います。
最後に
11月の目標で未達だった書籍出版についてのインプットをしました。
2024年10月の振り返りと2024年11月の目標 · kapieciiのブログ
次は実際に自分の経験を棚卸して、テーマ選定をしてみます。