Windows10+iPhoneで写真と動画をインポートする際の「デバイスに到達できません」エラー対応

Dec 13, 2020 10:30 · 2414 words · 5 minute read おうち情シス iPhone Windows

「おうち情シス」をしているので、親族のパソコンやスマホ、家のネットワークに関する相談が日々寄せられてきます。
今回は「iPhoneの容量が一杯だからどうにかしてほしい」ということで、iPhoneの写真と動画データのバックアップを取り、元の写真と動画は削除しました。
ささっと終わる予定だったのですが、iPhoneのデータインポート中に「デバイスに到達できません」というエラーが頻発して困ったので、解決策をブログに残しておきます。

目次

環境

  • iPhone SE(第二世代)、iOS 13.5
  • Windows10

発生するエラー

iPhoneのデータをWindowsでインポートしようとすると、「デバイスに到達できません」というエラーが頻発し、データをインポートすることができない。

原因

今回は「iOS11から採用されたデータの保存形式とWindowsの互換性」が原因でエラーが発生していました。
データの転送方法を変更したところ、エラーが発生することなくデータの転送が完了しました。
iOS11以降のiPhoneでは、写真を HEIF(High Efficiency Image File Format)という圧縮効率のいい形式で保存しています。
また、動画はHEVC(High Efficiency Video Coding、H.265)形式で保存しています。

「デバイスに到達できません」の解決方法

iPhoneの設定を変更します。
「設定」アプリから「写真」の設定を選択し、「MACまたはPCに転送」の項目で「元のフォーマットのまま」にチェックを入れます。
設定の変更はこれだけです。

iPhoneからデータを取り出す

Windows10の機能を使ってiPhone内の写真と動画をインポートします。

support.apple.com Windows パソコンに読み込む

support.microsoft.com スマートフォンから PC に写真とビデオをインポートする

今度は「デバイスに到達できません」というエラーが発生することなく、インポートが完了しました。
しかし、Windows10が保存形式に対応していないため、このままではインポートした画像と動画のファイルを閲覧することができません。

iPhoneから取り出したデータを変換する

iPhoneから取り出した「.HEIC」「.MOV(H.265)」ファイルは、そのままではWindows10で閲覧することができません。
拡張機能を追加することでWindows10でも閲覧することができるようなのですが、私の環境では上手く動作しませんでした。

HEIF画像拡張機能

今後のデータの使い勝手も考えて、データを扱いやすい形式に変換しておきます。

HEICをJPGに変換する

今回は「heif-convert」を使って、HEICファイルをJPGファイルに変換します。

heif-convertのインストール

Windows10上のWSL2にインストールします。

$ sudo apt install libheif-examples

Windowsで変換をする場合は、ver 7.0.8-42以上のImageMagickを使うことで同様のことができます。 ImageMagickの場合は、こちら からWindows用のものをダウンロードし、下記の形式で変換します。

mogrify.exe -format jpg {ファイルパス}\*.HEIC

heif-convertで複数ファイルを一括変換

下記のスクリプトで、dataディレクトリ以下の「.HEIC」形式のファイルを一括で変換しました。
変換後は元ファイルを削除しています。

for file in `\find ./data/ -type f | grep ".HEIC"`; do
    heif-convert $file $file.jpg
    rm $file
done

MOV(H.265)をMP4に変換する

HEVC(High Efficiency Video Coding、H.265)形式の動画ファイルもMP4に変換しておきます。
今回は「Ffmpeg」を使って変換しました。

Ffmpegのインストール

「heif-convert」と同じく、WSL2を使います。

$ sudo apt install ffmpeg

Windowsで変換する場合は、Windows用のFfmpegをインストールします。

Download FFmpeg

Ffmpegで複数ファイルを一括変換

下記のスクリプトで、dataディレクトリ以下の「.MOV」拡張子のファイルを一括で変換しました。
変換後は元ファイルを削除しています。

また、Mac等のQuick Playerにも対応させるために「-pix_fmt yuv420p」のオプションを追加しています。
参照URL:
MOVファイルをmp4ファイルに変換する

for file in `\find ./data/ -type f | grep ".MOV"`; do
    ffmpeg -i $file -pix_fmt yuv420p $file.mp4
    rm $file
done

今後のためにやっておくと便利な設定

毎回HEICやH.265のファイルを変換するのは面倒ですよね。
「設定」アプリの「カメラ」の項目から「互換性優先」の設定にすることで、以降はWindowsでも扱える形式で写真と動画を保存することができます。

参照:
iOS11での画像・動画フォーマットについて

ただし、動画を撮影する際に「4K 60FPS」が選択できなくなるなどの制限が発生するようなので、注意が必要です。

参照:
HEIF/HEVCの変換が無駄!iPhoneはJPEG/h.264互換性優先で固定

最後に

iPhoneのデータバックアップ時に発生したエラーについて書きました。

iCloudにデータをバックアップすることも考えたのですが、今後Google Photosのようにサービス内容変更があるかもしれません。 iPhoneの中には家族の写真など大切なデータが多くあったので、データは自分の管理している複数の外部ストレージに残しておくことにしました。

Googleフォト「無料で画像保存し放題」廃止に 来年6月から

この記事が世の中を支える「おうち情シス」の皆様の助けになれば幸いです。

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